あじさい通り

花びらを 

七色にぬり変えていく 

六月の手は 魔術師

(三越左千夫「あじさい」より)

 
ブログを詩の引用から始めると高尚な感じがしませんか?(疑問形)


国語の教科書にも載っていたこの詩ですが、は(8)なびらを持ってくることで、「8,7,6,,,」という数学的美しさをサブリミナルに訴求しているのではないでしょうか。

五輪で見たいのは そう

四百メートル個人メドレーと

三段跳び

と続きますしね。。。    言うまでもありませんが嘘です


+++++


夕方、日向薬師(ひなたやくし)近くの日陰道(ひかげみち)に行ってきました。


日陰道とは…

「かながわの古道 50 選」のひとつで、北向きの土地で日陰になるところから、この名が付けられたと言われています。全長 1.5キロメートルほどののどかな道で、初夏にはアジサイ、秋には彼岸花と季節の花々を楽しむことができます。こうした日陰道の整備は 20 年以上前から地域の人々の手で行われています。

鎌倉幕府の事績を記した『吾妻鏡』には、源頼朝が 1 回、北条政子が 2 回、日向薬師に参詣したことが記されています。また、頼朝が歯痛に苦しんだ時、代理を参詣させてもいます。(「いせはら文化財サイト」より)



神奈川県はあじさいの名所が多く、鎌倉の長谷寺や箱根登山鉄道などはすぐに思い浮かびます。イベントとしても開成町のあじさいまつり(本年は残念ながら中止)などが有名です。

この日陰道のあじさいも本数こそ多くはありませんが、丹沢大山を背景にして、日陰となった水田や小径とあじさいの佇まいが調和して、幻想的ともいえる趣です。


梅雨どきの花と言えばあじさいですし、日本人の好きな花ランキングでも上位にあがる花(このアンケートだと第3位)なので、昔からずっと人気のあった花かと思いきや、人気が出始めたのは戦後のことのようです。

例えば江戸時代には「ゆうれい花」と呼ばれるくらい陰気なイメージだったとのことですが、別名があるだけまだましな方です。

もっとさかのぼると、人々の意識にすら上がらない花だったのではと思われるほどで、その証拠に万葉集であじさいをうたったのはたった2首のみです。(1位は萩で141首、次いで梅の116首、桜は以前書いたブログのように当時は人気がそれほどでもなく41首)

日本であじさいの人気がでてきたのは、戦後に北鎌倉の「明月院」の庭に植えられたころからだそうです。

古来種として元々はこのような「ガクアジサイ」(花のかたまりの周りに花が見えるようなタイプ)でした。

ドイツ人医師シーボルトがヨーロッパに紹介し、人気が出た結果、品種改良で「セイヨウアジサイ」「ホンアジサイ」(全体が花のかたまりに見えるタイプ)が大正時代に逆輸入されたのだそうです。

あじさいは多彩な色を持ち、同じ根を持つものでも微妙に色が違ったりします。花の色がよく変わることから、「七変化」「八仙花」とも呼ばれます。
花の色を決めている要因の一つは、土壌のpH(酸性度)です。

アルカリ性土壌ではピンクに、酸性土壌では青くなりやすいのです。

多田多恵子「したたかな植物たち」より


アントシアニンという色素が、根から吸い上げられた土壌中のアルミニウムイオンと結合すると、ピンク(赤)から青に発色します。

酸性の土壌では、アルミニウムが溶け出しやすく、土壌中のアルミニウムイオンが多くなります。日本は火山が多く雨も多いため、土壌は酸性となり、あじさいの花は青色になりやすいと言われます。対して欧米諸国では土壌がアルカリ性なので、色素が変化せず、花の色がピンクになりやすいのです。


じっさい、吉川醸造の井戸水のpHが7.7~7.9で弱アルカリ性であるせいか、敷地内のあじさいはややピンクがかっているような気がします。

夜や雨の中でみるあじさいの幽玄な雰囲気、花の色が変わるという不思議さ、さらに葉が毒を持つ(厚労省HP:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ)という性質も相まってか、ミステリーの題材としてもよく使われます。

ヘンリー・スレッサーによるサスペンス小説『花を愛でる警官(The Cop Who Loved Flowers)』などがその嚆矢と言われています。この短編では、あじさいの花の色が変わっていることから、●●の●●である●●がその下に埋められていることが判明する、、という風に描かれています。
最近では新津きよみさんの短編などでも読みました。


+++++


話題の人物、IOCのバッハ会長はドイツ人で、あじさいをヨーロッパに広めたシーボルトと同じヴュルツブルクの出身です(偶然にびっくりしました)。

7月12日に来日(予定)する時にはまだあじさい(ドイツでも人気だそうです)が咲いているでしょう。
国立競技場の周りに咲くあじさいの傍でのインタビューでは、次のように訊いてみてはいかがでしょうか?

「ようこそバッハ会長。このHortensie(ホルテンジエ)は実は日本が原産なんですよ。ご同郷のヘル・シーボルトが日本人の恋人の名前を学名でつけようとして(中略)ヨーロッパで広めて(中略)ドイツの水は硬水でしょうから必ずしも相関性は高くないもののpHが高い可能性が高く(中略)青い花の下にはいったい何が埋まって(笑)。 ところで五輪開催についてひとこと」



……。白いあじさいの花言葉 は「寛容」です。


GN


でも あの娘だけは 光の粒を ちょっとわけてくれた 明日の窓で

あじさい通り - スピッツ