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とくとくとくとく…

以前のブログで、雨の音はASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)、ずっと聴いていたくなるような心地よい音だなどと書きました(リンク)が、長雨が続いて災害が起こるようになると、そうも感じられなくなります。

心地よい音、あるいは心地よくない音、というのは極めて主観的な、その日その時の人の心次第ということなのでしょう。

 

日本酒に関連する心地よい音といったら何だろうと考えを巡らせました。

一つは上の記事でご紹介した醪(もろみ)発酵中に微細な泡が弾ける音でしょうか。幾千の泡がたてる音は、決して大きくはないのですがとても壮麗なものです。ただこれは酒造りのオフシーズンである今は聴くことができません。

他に何かないかな、、と考えて思いついたのが、お酒のビンや徳利(とっくり)から猪口(ちょこ)やぐい飲みに注ぐときの「とくとくとくとく…」という音です。

「徳利」の語源はこの「とくとく」という音をあらわしたものだそうですから、昔から人の感情に訴えかける音であったことは疑いありません。
ウィスキーのCMなどでもおなじみですね。

というわけで、「雨降」シリーズの四合ビンからグラスに注ぐときのサウンドを録音してみました。(イヤホンやヘッドホンで聴くとわかりやすいです)

「とくとくとくとく…」ちょっとゆっくり目。


実は、この音は他の一般的な日本酒の四合ビンでは出すことが難しいのです。やってみましたがうまく音が出ません。

よくよく観察すると、このビンの首のあたりの形状の特殊性が「発音」に影響していることがわかります。
首が細く、長いことで外の空気の流入がとぎれとぎれになり、お酒が波打つことで首の部分の空気を振動させています。

一般的な四合ビンでは首の部分が短く径も太く、スムーズにお酒が注げるが故に、この「とくとく」音が出ないのです。

首のあたりで空気と水が波打つ(空気のかたまりが切れる)あたりで音がします。ビンを持つ手に振動も感じます。


音とは空気が振動して伝わることに他なりません(空気伝播音の場合)から、お酒と空気がつくる「波」が音になって聴こえているということがわかります。

この「とくとく音」を可視化してみます。(WavePadを使用)
横軸が時間です。ひとつの大きな波がひとつの「とくん」を意味します。



一つの「とくん」を拡大したもの。

思ったよりアタックの強い音ですが、きれいな減衰です。


次にこの「とくん」の周波数特性を見てみましょう。(Wave Spectraを使用)
横軸が周波数、縦軸が音のパワーを意味します。さきほどの図をフーリエ変換したものです。

本当は音の豊かさをもたらす倍音成分が、これより上の周波数帯にちゃんと含まれるのですが、既に「付き合っていられないよ」という声が聞こえてきます(幻聴)ので今回は省略します。

200Hz付近と1500Hz付近にピークがあります。「とくとく音」は単一的な音ではなく、低音と高音の混ざった複合的な音声であることがわかります。

仮に、200Hz付近の音量を下げてしまう(ハイパスフィルターを掛ける)とこんな感じ。

深みのない、表面的な音になります。

逆に、1500Hz付近の音量を下げてしまう(ローパスフィルターを掛ける)とこんな感じ。

くぐもった、輝きのない音になります(くどいようですがイヤホンやヘッドホンで聴くとわかりやすいです)。


複合的な周波数を持つ音で構成されていることが、この「とくとく音」の魅力になっていると言えましょう。

さらに時間軸を入れて見てみます(画面奥の方向に時間が進んでいます)。

1500Hzの付近の音は個々の「とくん」によってそれぞれ少し波形が違うのがわかります。これが自然な雰囲気に繋がっていると想像できます。


音を可視化してみましたが、さてこの「とくとく」の周波数は我々の聞いている中でどのあたりに位置づけられる音なのでしょう。
下のようなグラフがあります。(scrapbox.io/motoso/より引用)

200Hz~1500Hzはまさに「日常会話」の範囲に近いですね。
「とくとく音はまるで人のように優しくささやく」と言ったのは私ですが、例えば楽器のチェロは人の声域に近いために心地よい音に感じられると言いますから、「とくとく音は心地よい」と感じられることが科学的に解明できたと言い切ってしまいましょう。


もっと言うと、言語によって周波数帯が異なることが知られています。下図は外国語会話教室のサイトでよく掲載されているグラフですが、言語によって周波数がかなり異なるということがわかります(だから外国語の習得は難しい、我々の教室に入るべきではなかろうかいや入るべきであろう、という理路ですね)。

こうして見ると、一つ前のグラフの「日常会話」は日本語であることがわかります。

というわけで。。

結論)「雨降 AFURI」のビンがたてる「とくとく音」は、日本語の日常会話の周波数帯域にあり、日本人が一般的に心地よいと感じる音と考えられる。

応用)「これは日常会話の周波数帯域に近い音なんだ。まさにお酒との会話ってわけさ」と言いながら注ぐと恰好いいかもしれない。


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お前は一体何がやりたいのかと訝る向きもあるでしょう。
何だかオチがわかっちゃったかも、と苦笑する方もいらっしゃるでしょう。

N常務や唎酒師Tが私に向ける視線が先ほどからうつろです(幻覚)。

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「雨降」シリーズをお買い上げいただきますと。。。味覚や嗅覚だけでなく聴覚でもお楽しみいただくことができて。。。非常に「得得」です。。。(書いてしまった)


夕暮れ。雨の合間に。


GN


マイブラサウンドの可視化。

my bloody valentine - she found now