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今週、吉川醸造ではオゾン（O3）水除菌脱臭洗浄機を導入しました。
オゾンによる除菌洗浄は全国17都道府県の浄水場でも利用されており、日本酒蔵では神奈川県で8蔵目の採用ということですから、さほど目新しいものではありませんが、除菌・脱臭速度が速く、しかも残留性が皆無であるため環境にやさしい優れものです。
３つの酸素原子で構成されるオゾンは酸素に戻ろうとする性質があり、オゾンから放出された酸素原子は周囲のいろいろな物質と酸化反応を起こします。悪臭物質や有害な細菌と反応することで脱臭や除菌などの効果が得られ、酸素（O2）になって空気中に同化します。
通常の大気中では0.005ppmのオゾンが存在し、大気の自浄作用（殺菌・脱臭・脱色など）をしています。
注1）ここはオゾン除菌脱臭洗浄機の販売サイトではありません。
色々調べて気に入ったので、オゾン水洗浄の持つ5つの特長を列記します。
- 細菌・ウイルス等の微生物への高い除菌効果と即効性
- 幅広い殺菌スペクトルを持っている
- 薬剤を使用しないため、皮膚への刺激が少ない
- 耐性菌ができにくい
- 水と酸素に戻るため、残留性がなく環境にやさしい
注2）ここはオゾン除菌脱臭洗浄機の販売サイトではありません。
1.にはもちろん、新型コロナウィルス対策も含まれますね。
藤田医科大学の村田貴之教授が昨年世界で初めて発表しましたが、日本の作業環境基準であるオゾンガス0.1ppm処理でもCT60（10時間後）で4.6%までウイルスの感染性が激減します。
オゾン水はもともと手指の洗浄用にも用いられますが、アルコール除菌の10倍の効果があるそうです。しかもアルコールのように手が荒れることもありません。じゃあなぜ「オゾン除菌スプレー」のようなものが発売されないのか。それはオゾンが酸素に戻りたがる性質が極めて強いので、作り置きということができないからです。
かなり儚い存在ということですね。
試験運転をしてみました。試しに手を洗ってみると、手の表面がすべすべサラサラになるのが実感できます。
オゾンの能力に関する論文をひとつご紹介しておきます。「30秒から1分程度の短時間の洗浄で済み、手荒れを起こさず、手がすべすべするので喜ばれている」とあります。
新しい展開に入ったオゾン水の利用技術
蔵人Oも手がすべすべになって喜んでいるようです。
床に散布すると、ごくわずかにオゾン臭が漂います。いわゆる「コピー機（レーザープリンター）」の匂いです。金属を溶接するときの匂いとも称されます。
印刷する過程で静電気を発生させるために「コロナ放電」が行われてオゾンが発生するのです（今のコピー機にはオゾンフィルターが設置されているものも多いので、必ずしも匂いがするわけではありません）。20分もするとオゾンは酸素に変わるので、全くの無臭になります。
先ほどの概念図を見ていて、そういえば最近あまり「オゾン層の破壊」について言われないなと思ったのですが、2000年以降オゾン層は10年ごとに3％ずつ回復しており、このまま行けば2050年頃までには完全回復するのではないかという研究結果が出ているようです。フロンガスの廃止などが功を奏しているのだそうですが、こういうことはもう少しアピールしてもいいのではないでしょうか。
何しろオゾン層がなくなると、陸上の生物は1つの菌すら残らず死滅すると脅かされていたわけですから。。。
余談ですが、宇宙飛行士が宇宙遊泳をしてから船内に戻って宇宙服を脱ぐときに嗅ぐ香りがあるそうです。
金属を溶接するときの香り、濡れたままの服の香り、ラズベリー（またはラム酒）の香り、、、が全て混ざったような「宇宙の香り」。
NASAがその組成についてまとめたところ、金属が溶接されるときの香りはオゾン、ラム酒のような香りは「ギ酸エチル」だそうです。
これらを調合して（といってもオゾンは上記の通り不安定なのでどう再現したのかわかりませんが）昨年発売されたのが "Eau de Space（オー・デ・スペース）"という香水。
もともとNASAが数十年前に「宇宙に飛び立つまえに、宇宙の香りに慣れておくべきだ」という理由から宇宙飛行士のトレーニングの一貫にと開発したものなのだそうです。
昨年kickstarterで60万ドル以上集めていました。
https://eaudespace.com/
「ギ酸エチル」は実際に宇宙空間に漂っていることが確認されている香り成分ですが、実は日本酒の古酒にも含まれています（いわゆる熟成香の一種）。
いったい何が言いたいかというと、、、
床清掃の終わったばかりの吉川醸造の蔵のなかで古酒をどうぞ。
オゾンとギ酸エチルの香りに満たされて、宇宙飛行士のトレーニング（の一部）をここ伊勢原で、宇宙服も着ないで受けられます。
（いつにもまして）強引だったでしょうか。
GN
二週続けて宇宙ネタになってしまったことに気づきました。