たまにオークションサイトで昔の絵葉書を買います。
例えば「大山 ケーブルカー 絵葉書」で検索すると、大山ケーブルカーの建設中の白黒写真があしらわれた絵葉書がたくさん見つかります。
現代の感覚では「どうしてこの状況(絶賛工事中)を写真に撮って、かつ絵葉書にしようと思ったのだろう?」と不思議に思うようなものもあったりしてそれがまた楽しく、特に宛先や短い文章が記されたものは、紙一枚で当時の空気を濃厚にまとっているような気がします。
旅先から親しい人に絵葉書を送る習慣は現代ではインスタやLINE等に置き換わってしまいましたが、それだけにこの絵葉書という「メディア」は色あせているのにその魅力は色あせていないという言い回しを今思いついたのですが検索するとそれなりに出てきて残念です。
この絵葉書もそのうちの1枚です。何となく構図や人物が見るともなしにこちらを見ている風情が気に入り、清水の舞台から飛び降りる覚悟のもと約千円で購入しました。
1916年の消印がありますから、吉川醸造の創業(1912年)と概ね同時期のものだということになります。
既に当時のパリにはこなれた雰囲気の喫茶店(カフェ)があったことが見て取れます。それもそのはずパリ最初のカフェと言われるカフェ・プロコップが開業(現存)したのが1686年ですので年季が入っています。
「日本初の喫茶店」が出来たのは1911年(銀座の「カフエー・プランタン」)ということですから、大正時代(1912~)にこのカフェ文化が一気に広まったということなのでしょう。
余談ですが「鬼滅の刃」の時代設定もちょうどこの頃で、映画のヒットにより今年は大正ロマンが来てモボ・モガが大量発生して吉川醸造に押し寄せるであろう、と予言したのですが今一つ来る気配がありません。誰にも言っていないので別に構わないのですが。
現代のいわゆる喫茶店は、朱色の野点傘(のだてがさ)が毛氈(もうせん)の床几台(しょうぎだい)の傍に差されているような茶屋(ちゃや)や茶店(ちゃみせ)からの流れではなく、西洋のカフェからの輸入品と考えた方がいいのでしょう。
吉川醸造にも、甚だ小ぢんまりとしたものではありますが試飲(有料)もできる事務所兼売店兼喫酒店があります。
履物を履いたまま畳のスペースに腰掛けてちょっと一杯ができるのは「茶屋風」、新酒をテイクアウトできるのは「カフェ風」。お茶やコーヒーもお酒に読み換えた、まさにハイブリッド・オリエンテッド・サケ・カフェと言えましょう。
人員的に十分なおもてなしが難しい時間帯が多いため積極的なご案内はしておらず、伊勢原近郊のお客様やスズメのご一行様がときどきお越しになる程度ですが、蔵でお求めいただくお酒にはまた格別なものがあるようです。
「以前買ったアレ美味しかった~」「米が違うんでしょうね、ああ純米大吟醸用の兵庫県産山田錦でしたか道理で味わいが深いと思ったチュンチュン」などというご感想を直接いただける機会は我々にとっても大変貴重なものです。コロナ禍のこの時期ではありますが、しっかり換気などに注意しながら何とか続けて行きたいと考えています。
遠方の方も、大山観光からのお帰りの途中にでもバスやタクシーなどでお越しいただければと思います。
※緊急事態宣言再発令に伴い業務時間短縮で営業をしております。お越しになる際には事前にお問い合わせフォームまたはお電話にてご一報いただけますと幸いです。
十分に安全性が確保できるようになりましたら蔵の見学も再開したいと考えておりますのでお楽しみに。。。
GN
飲酒運転、ダメ、ゼッタイ
GARO - 学生街の喫茶店