来る9月9日は菊の節句(重陽の節句)です。
近所のスーパーに菊の花を買いに行きました。
吉川醸造のもう一つの銘柄、菊勇(きくゆう。山形県の菊勇株式会社様の方は「きくいさみ」と読みます)の「純米ひやおろし19」を発売したので、例によってお酒と花を並べて写真を撮ろうと思ったのですが、旧暦と新暦のズレもありまだ菊の花のシーズンではないせいか、おそらくは弔事用の白い小菊しか置いてありませんでした。
とりあえず撮ってはみたもののあまり雰囲気がよくないのです。色彩とレイアウトのセンスが悪いやはり白い菊が弔事を想起させるからでしょう。
ちなみにこの金属のグラス(?)はピューター(錫とアンチモンの合金)製です。やはりフーゼル油を溶かすんでしょうか。
白い菊が何とも心をざわつかせます。調べてみたところ、白い菊を供養に使い始めたのは明治時代にヨーロッパから伝わった習慣(特にフランスでは19世紀お墓参りに白菊を供えるという慣習があった)のようです。
元々日本では「菊を飾ると福が来る」とも言われ、高貴で気高い花とされて来たというのに。
「菊の節句」では何をしていたかというと、、
邪気を払い長寿を願って、菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わして祝ったりしていた。また前夜、菊に綿をおいて、露を染ませ、身体をぬぐうなどの習慣があった。現在では、他の節句と比べてあまり実施されていない。(Wikipediaより)
あまり、と言いますか、菊に綿をおいている人も、それで体を拭っている人も見たことがありません。
菊勇じゃなかった菊酒の文化は末永く継承していきたいものです。家族に内緒で深夜、綿で身体を拭ってみようかな。何かを寿いでいる気分になれるかどうかは微妙なところです。
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菊の花が赤とか黄色ならマッチするのかな?ということで画像加工しようかと思ったのですが、白い菊の花言葉は「真実」です。そうですね止めましょう。
仕方ないので色彩がわからなくなる白黒写真でも撮るか、、、というところでマン・レイのソラリゼーションの技法を使った花の写真のことを思い出しました。
マン・レイ
(Man Ray, 本名:エマニュエル・ラドニツキー Emmanuel Rudnitsky, Эммануэль Рудзицкий, 1890年8月27日 - 1976年11月18日)は、アメリカ合衆国の画家、彫刻家、写真家。ダダイストまたはシュルレアリストとして、多数のオブジェを制作したことでも知られる。レイヨグラフ、ソラリゼーションなど、さまざまな技法を駆使し、一方でストレートなポートレート(特に同時代の芸術家のポートレート)も得意とし、ファッション写真と呼べるような作品もあったりと、多種多様な写真作品群を残している。
ソラリゼーション(solarisation)
写真の現像時における1つの現象。現像時に、露光をある程度過多にすることにより、モノクロの写真作品の白と黒が反転する現象。意図的に行われ、その結果、白黒が(部分的に)反転した作品のこともソラリゼーションと呼ぶ。
マン・レイが写真の現像中に、助手であり愛人だったリー・ミラーが現像をしていた部屋のドアを誤って開けてしまったが、その結果生じたものを、マン・レイは「失敗作」とは考えず1つの効果として評価した、ということをその始まりとする説もある。(いずれもWikipediaより)
学生時代「好きな写真家の記念館を設計せよ」という課題があって、そこでマン・レイを選んで以来ずっと思い入れのある(私にとっては)写真家です。
展覧会「マン・レイと女性たち」が9月6日まで渋谷で行われているのを薄々知ってはいたのですが、このご時世に渋谷かぁどうしたものかなと思っているうちに結局行かずに後悔することになりそうです。
特にソラリゼーションの技法を使った写真が好きだったので、自分でも真似できないかなというDIY精神が頭をもたげてきました。
こういう技法です。白・黒の一部反転や輪郭線の強調が特徴ですね。
というわけで吉川の3分レタッチのお時間です。
簡単にやります。どの画像編集ソフトでもだいたい同じようなものだと思います。
①元写真
②色相と彩度を調整してモノクロにします。
③トーンカーブをいじります。この場合は逆N字のようなカーブラインが「米粒」(「菊」の文字は米を握っている様を示すらしい)の立体感も出ていい塩梅でした。
④銀塩写真っぽく粒子を入れ、周辺減光させます。
さくっと完成!
後ろから覗き込んでいた小学生の娘に「へー器用だね」と言われました。
…どうもありがとうございました。
菊酒や 超光速の話して 小澤克己 (2001年)
GN
Múmは菊(mum)の意味ではないと今初めて知りました。
Múm - We Have A Map of the Piano