サイクロイド・イン・テキサス

アメリカ南西部に「雨降」のプロモーション巡業に行ってきました。
SAKE-HANA(テキサス)の矢冨社長に誘っていただいたのです。

 

ダラス・フォートワース空港に到着。6つのスーツケースの中身は全て日本酒。フォートワース空港

巡業の様子は最後に載せるとして。。。

テキサスと聞いて、どうしても訪れてみたい建築がありました。建築家ルイス・カーン設計の「キンベル美術館」です。学生時代から憧れの建築です。

 

敷地はフォートワースですから、今から思えばプロモーションの会場とはかなり離れていたのですが、「10分でいいからお願いします」と矢冨社長に懇願して連れて行ってもらったのです。テキサス

 

オースティンから向かったので距離にして約300km、つまり東京からだと名古屋まで行けてしまうという。。。ごめんなさい(テキサス州の面積は日本の約2倍)。テキサス

 

途中で雲行きが怪しくなってきたと思ったら洪水のような「雨降」の洗礼。

 

と思ったらもう止んで。テキサス

キンベル美術館に到着。お疲れ様でした。キンベル美術館

 

樋(とい)の処理がきれいです。キンベル美術館 樋

 

樋と言えば、JR中央線の車両の樋もなかなか見事な納まりです。JR中央線 樋

 

早速中に入ってみたいと思います。
エントランス廻りは驚くほど簡素で、風除室や回転扉すらありませんが、それにしても目地割の美しいこと。キンベル美術館キンベル美術館

 

建築を見に来たと係の人に伝えると(「10分だけなんです」とは言えず)、模型で丁寧に説明してくれたり通常開けていないオーディトリウムなどを案内してくれたりしました。キンベル美術館キンベル美術館キンベル美術館半世紀前にルイス・カーンがここに立っていたかと思うと(竣工は1972年)、感慨深いものがあります。キンベル美術館

 

SAKE-HANAのピート。元写真家だけあって建築も好きなようです。SAKE-HANAキンベル美術館 窓

 

しかしいいトラバーチンですね~。キンベル美術館 カーン

関ケ原石材さんのページ(リンク)。写真が載っている「虎ノ門ヒルズ」の床材としてトラバーチンをたくさん使いましたが、最近は目のいいものを揃えるのに苦労するようです。

 

石をL字型にはカットしないぜという強い意志を感じます。キンベル美術館

 

美しい階段。カーンは階段を「建築におけるイベント(出来事)である」と呼びました。キンベル美術館 階段キンベル美術館 階段

 

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さて、この美術館の見どころは何といっても「天井」です。キンベル美術館 天井キンベル美術館 天井

 

トップライトから入った自然光がパンチングメタルに反射して、コンクリート打放しの天井を舐めるようにして室内に降り注ぎます。キンベル美術館 天井キンベル美術館 天井

冷たいような暖かいような(カーンは「銀の光」と呼びました)、なんとも形容しがたい独特の光です。

 

施工時の写真を見るとこの天井はプレキャストではなく現場打ちのコンクリートですね。確かによく見ると型枠用の釘の跡がありますが、ここまで面が揃うというのは凄い施工精度です。キンベル美術館 天井 ヴォールトキンベル美術館 天井 ヴォールト

 

この天井(屋根)の形状は「サイクロイド曲線」と呼ばれるものです。円を転がしたときに円の外周の一点を繋げていったときにできる曲線のことです。サイクロイド曲線キンベル美術館 天井

 

日本では神社建築の屋根の「反り」がサイクロイド曲線と言われます。
キンベル美術館の屋根の曲線(「反り(ソリ)」に対して「ムクリ」と言います)は、これと逆さまではありますが、共通の曲線を使っているということで、崇高な精神性を感じる一つの理由になっているかもしれません。

サイクロイド曲線は「最速降下曲線」でもあります。(Wikipedia)その証明も書いてありますが難しくて理解不能。とにかく不思議な性質を持つ曲線です。

 

制限時間が近づいてきたので完全に小走りで館内をぐるぐると。キンベル美術館 天井 ヴォールトキンベル美術館 天井 ヴォールトキンベル美術館 天井 ヴォールトキンベル美術館 天井 ヴォールト

 

本来は一日中館内にいて光の変化を楽しみたいところですがそういうわけにもいかず、再訪を誓って本当に10分で美術館を出て次のイベント会場へ。
学生の頃、いかに多くの建築を廻れるかを友人達と競っていた日々を思い出しました。

 

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サイクロイド曲線と言えば、メジャーリーグの大谷翔平選手のスイングの軌道がまさにそれである、と話題になりました(リンク)

 

これ。何と言っても「最速降下曲線」ですからね。

 

 

大谷選手と言えば、つい最近のインタビューで好きなアメリカンフードとして「イン・アンド・アウト」と答えたことも話題になりました。(切れるかもしれませんがリンク)

「好きなアメリカンフードは何?」と問われると、これに対して「イン・アンド・アウト」と即答。人気ハンバーガー・チェーン店の名前を挙げ、周囲の笑いを誘ってみせたのだ。
公式ネットワーク番組『MLB Network』の美人レポーターとして知られるハイジ・ワトニー氏も、大谷の意外な回答に「ショウヘイはわかっているわ」で反応を示していた。

 

奇遇ですね。私もアメリカに行って最初に食べたのがイン・アンド・アウトバーガーで、あまりの美味しさに矢冨社長に懇願してもう一度連れて行ってもらったほどでしたので、勝手に大谷選手に親近感を覚えました。ショウヘイもわかっていますが私もわかっているようです。

アメリカ南西部と言えばキンベル美術館、キンベル美術館と言えばサイクロイド曲線、サイクロイド曲線と言えば大谷翔平、大谷翔平と言えばイン・アンド・アウト、イン・アンド・アウトといえばアメリカ南西部。。。
何となくサイクルができたところで今日はおしまいとします。

 

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日本酒イベントをたくさんこなしましたが、忙しすぎてあまり写真を撮る余裕がありませんでした。インスタに載せた写真をどうぞ。

 

このブログを読んで、蔵元が「美術館行きたい」「ハンバーガー食べたい」とわがままばかり言っているように見えたかもしれませんが決してそんなことはなく誠心誠意プロモーションに努めますので海外の酒屋様、気軽にお問合せくださいませ。

 

GN

 

Khruangbin & Leon Bridges - Texas Sun