パリで開催された日本酒コンクール「Kura Master 2025」で吉川醸造の「菊勇」「雨降」3銘柄がプラチナ賞を受賞しました!
そのうち「菊勇 辛口純米酒」は純米酒(66-100%)部門でなんと第1位(審査員賞)に選ばれました。
私たち吉川醸造は、お米をできるだけ削らず、お米本来の味わいを活かした「低精白酒」(精米歩合90%程度)に取り組んできました。その結果、Kura MasterやIWC(イギリスの世界的な酒類コンクール)といった世界的なコンクールで上位の賞をいただくことができました。
そこで得られた「要素の多い」お米の扱い方の知見を活かし、今度は食米(米全体にタンパク質や脂質が含まれます)で造るお酒の開発にも挑戦しています。神奈川県産の「はるみ」や台湾産の「台南16号」で造ったお酒がその一例ですが、酒米に勝るとも劣らない深みのある味わいに、日本酒愛好家を含む多くの方が驚かれます。
今回、Kura Master 2025の「純米酒(66-100%)部門」で栄誉ある第1位(審査員賞)を獲得した「菊勇 辛口純米酒」は、コシヒカリやササニシキといった食米(ミックス米)から造った日本酒です。
ミックス米は粒の大きさや成分にばらつきが多く、酒造りの観点からは難易度の高いお米です。
「生酛(きもと)」という伝統的な手法と、低温長期発酵という現代的な技術を融合させ、さらに稲から分離・育種した新世代の麹菌を採用するといった工夫を凝らして、ようやく完成した自信作です。
■Kura Masterについて
2017年から開催されている、フランスの地で行うフランス人のための和酒のコンクール。
フランスの歴史的食文化でもある≪食と飲み物の相性≫に重点をおいているのが特徴です。コンクールや試飲会、各種イベントを通して、食と飲み物のマリアージュを体験する機会を創り、フランスをはじめとした欧州市場へ日本酒、本格焼酎・泡盛などをアピールする場を提供しています。
今年は日本酒8部門、計1083銘柄が日本だけでなく海外の酒蔵から集まりました。
全てブラインド・テイスティングで審査が行われます。審査委員長を務めるグザビエ・チュイザ (Xavier Thuizat)氏(ローズウッドグループ ヨーロッパのエグゼクティブ・シェフ・ソムリエ/2022年最優秀ソムリエ賞受賞/MOFソムリエ)を筆頭に、7名のMOFソムリエ、さらにリッツ・パリやシュバル・ブラン・パリ、マンダリンホテルといった5つ星ホテルや、ミシュラン3つ星の名店・アンヌ・ソフィー・ピックなどで活躍する一流ソムリエやレストランオーナーら、総勢135名による厳正な審査が行われました。
https://kuramaster.com/ja/concours/comite-2025/
■蔵人より
硬く溶け辛い米に外気温上昇。気候変動による厳しい環境は、現代の酒造りにおける新たな試練です。
私たちは、米をほとんど削らない精米歩合90%や低温長期発酵という手法で、米本来の味わいを持つ日本酒を追求し、いかなる環境・条件下でも最高の酒造りを目指してきました。
この度の栄誉ある賞は、私たちのこれまでの挑戦が認められた証であり、蔵人一同、大きな誇りと励みを感じております。この喜びを胸に、日本酒の奥深い魅力を世界へ発信していく所存です。
また、昨今話題の備蓄米の活用についても、未知の米に挑戦できる絶好の機会と捉え、内心では少々楽しみにしております。
これからも、既成概念にとらわれることなく、日本酒の新たな可能性を拓く挑戦を続けていきます。
■その他のプラチナ賞受賞酒
・クラシック酛部門 プラチナ賞(※決勝進出!)
雨降///あふり MIZUMOTO
室町時代に発明され、日本酒のルーツとも言われる水酛(≒菩提酛)造り。
この伝統的な製法を、若き蔵人の自由な発想で現代に蘇らせました。
白麹の酵素や天然の乳酸菌、そして蔵付き酵母など、様々な微生物たちが代わるがわるリードしながら見せ場をつくる様はさながら「即興演奏」の趣です。
・クラシック酛部門 プラチナ賞(※決勝進出!)
雨降///あふり KIMOTO
伝統の生酛仕込みにより醸し出されるのは、淡く澄んだ酸味と、奥深い透明感。
それらが引き立て合いながら、鮮烈に輪郭を際立たせる設計としました。
すっきり滑らか、瑞々しい味わいは、どんな食事にも寄り添います。吉川醸造が挑む新たな生酛純米大吟醸を、どうぞご賞味ください。
温度帯を選ばず、多様な料理と相性抜群で、酸味が苦味を包みこむ絶妙なバランスの食中酒です。