東京五輪×2をつなぐもの

間もなくオリンピック期間が終わり、パラリンピックが始まります。

事前のイロイロで興味がそれほど湧かなかったけれど、いざ競技が始まってみればそれらのことは忘れて、選手の躍動感や高度な技術にうおおおと歓喜し、勝利/敗退インタビューでは思わず涙ぐんでしまうという私のような方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

IOCの術中に陥ったようで癪な部分はありますが、ただでさえイベント類の制限される今の状況では、日本で数十年に一度の世界的祭典で盛り上がるなと言われても難しいものがあります。

さらにここに至って、無観客なのもむしろ特別な感じを演出する一つの仕掛けのような気がしてきました。
大観衆・大歓声の醍醐味は確かに味わえないのですが、そのぶん選手の息遣いやコーチの歯ぎしりする音など、今後のスポーツ観戦ではもう知覚することができないかもしれないと思うと、ある意味で貴重な体験です。

個人的には、昨日職域接種で2回目のワクチンを打ったのですが、しっかり38℃以上の発熱、頭痛はするわ意識は混濁するわの中で男子サッカーの3位決定戦や4×100リレーなどを先ほど見終わったところです。
これも貴重な体験であると自分に言い聞かせる意味で記録しておきます。

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以前、Instagramに蔵の写真をアップしたところ、「昭和39年のタンク。前回の東京オリンピックの年ですね!」というコメントをいただきました。

 

別カット。特にポージングの指示は出していません。蔵人Oは何をしようと?
蔵人とホーロータンク

なるほど本当だ!と思い蔵の中を見渡すと、確かにその時期に設置したタンクが非常に多いのです。

昭和39年(1964年)と言えば高度経済成長期まっただ中、酒蔵でも増産の勢いが止まらなかった頃です。

このタンク、内部はホーロー(金属材料表面に二酸化ケイ素を主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けたもの。琺瑯)の加工が施されており、「富士琺瑯」などの製造メーカー名が記されています(現在では「富士ホーロー」で、家庭用の美しいホーロー鍋等を製造されています)。

日本酒の製造・保管工程で厳密な温度管理をするようになった現在では、なかなか使い方の難しいタンクではあります。
裏庭 ホーロータンク 日本酒
蔵の改修をしているので一部を裏庭に運び出して並べているのですが、横においてもその巨躯に一種の威容とノスタルジーを感じます。

これまで頑張ってくれたホーロータンク氏にひまわりの金メダルを授与してみました。



去年から今年にかけて、再度の東京オリンピックイヤーに揃えているのが、温度調整機能の付いたサーマルタンク(クーリングタンク)です。

注:吉川醸造はオリンピックと縁のある蔵のようで、創業年の1912年(大正元年)は日本が初めてオリンピック(ストックホルムオリンピック)に選手団を送り込んだ年です。

サーマルタンクサーマルタンク クーリングタンク

サーマルタンク 温度調整
カタログにSUS304と書いてありますからオーステナイト系のステンレス製ですね。18-8(クロムが18%、ニッケルが8%)ステンレスとも言います。


ここで豆知識。ステンレスというと磁石にくっつかないイメージがありますが、磁性がないのはこのオーステナイト系のステンレスくらいで、フェライト系(SUS430:18-0ステンレスなど)やマルテンサイト系(SUS410:13-0ステンレスなど)は磁性があります。
SUS304がもっとも一般的に使われるステンレスですが、200種類ほどあるステンレスは、それぞれ性質・性能が異なります。(海辺に煙突を立てようとするときに、SUS304を使おうとする建築家はモグリですのでお気をつけください。)

ご家庭のスプーンやフォークの裏をご覧ください。18-8とか18-10とか書いてあるのではと思います。

18-0(この場合記載がなかったり、STAINLESS STEEL表記のみだったりもする)は百均の製品に多く、金属の味(カナケ)がすると言われます。
これは磁石にくっつきますので見分けることができます。ミステリーのトリックでこれを使った作品があったような気がしますが、今は調べる気力がわきません

カトラリーの場合、18-8は一般的な製品で、18-10や18-12以降は高級品とされますが、我が家にあるのは引き出物でもらった18-10スプーンだけでしたorz





2種類のタンクを比べてみると、前回東京オリンピックから57年の歳月の流れを感じます。2021型にはカタログの謳い文句にも「省スペース」「オゾン破壊係数ゼロ」など現代の価値基準に沿ったワードがちりばめられています。

ついでにこちらにも金メダルを授与します。サーマルタンク ひまわり

サーマルタンク ひまわり ステンレス

 

本来であればここから、1964型タンクで深海何メートルまで潜れるか、とか2021型タンクで宇宙に行くには、というテーマで書こうかなと思っていたのですが、ワクチン接種後の体調不良のため、泣く泣く諦めます(写真は接種前に撮ったもので、だいたい後からブログのテーマを考えるから無理が出るのです)。


しっかり体調を整えて、オリパラ★アンダーコロナを見届けたいと思います。


GN


開会式での上原ひろみさんの扱い方には疑問を持ちますが、これも何かあったのでしょうね。

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