「雨降 十二年匿蔵・吟醸仕込」がフランスの「ボルドー酒チャレンジ2021」で金賞を受賞しました!
昨日(9日)発表されました。
…というわけで急遽ブログの予定を変更してお送りします。
【Bordeaux Sake Challengeについて】
ボルドー酒チャレンジは日本酒をさらに世界へ広めることを目的とした品評会です。フランスにおける最高峰の酒ソムリエ達が一堂に集まり、世界の最も優れた酒、新しい酒を選出します。
酒ソムリエ協会は各現地の嗜好や市場に如何にマッチするかに重点を置き、「酒とローカルを結ぶ」事を目指しています。
とのことです。
お酒についての評(フランス語)をdeepLで翻訳してみました。
この古酒は、琥珀色をしています。
ウイスキーとピートの香りとミルキーな香り。口にすると、アイリッシュコーヒーの複雑な香りが確認できます。
料理と日本酒の相性:チョコレートフォンダン、チェコのスモークチーズ、また食後酒として。
古酒にしては琥珀色というほど色がついていないのがこのお酒の特徴なのですが、、、ミルキーな香りとかアイリッシュコーヒーの複雑な香りというのはよくわかります。
ボルドーといえばフランスワインの銘醸地、という程度の知識しかなかったのですが、これは今さらながら(まさに泥縄)学ばねばなりません。
ある場所について知るのに最もよいのは当地を実際に訪れることなのは間違いないでしょう。
しかしながら、ふらんすへ行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠いしもう夜だしで、映画を見て二時間スピードラーニングすることにしました。
アマゾンプライムで見つけた「世界一美しいボルドーの秘密」を観ることに。
タイトルやDVDのジャケットデザインから察するに、ボルドーの美しいブドウ畑や荘厳なワイナリーといった映像美を堪能できそうですし、最上級のワインを造る秘密などが描かれているに違いありません。
ナレーションがラッセル・クロウ、フランシス・F・コッポラも出演するということで、重厚かつ壮麗なドキュメンタリーが期待できます。
これはいいと観始めたのですが、まず原題「RED OBSESSION(直訳すると「赤の執着」)」が画面に出てきた時点で「おや?」という疑念に変わります。フォントからしてサンセリフ体ですが、映画の内容からすればTRAJANなどの格式あるセリフ体であるべきでしょう。…何かがおかしい。
再生を止めて元々のポスターデザインを見てみます。日本版と同じ映画とは思えない。。。まるでホラーかミステリー映画のようです。
それでも映画が始まってしばらくは「美しいブドウ畑」「荘厳なワイナリー(シャトー)」「オーナーのワインに対する愛情」が出てきて、うっとりとします。
ところが、時間にして20分を過ぎたあたりから、画面の色彩設計に変化が見られ、BGMにも不穏さが漂い始めます。
「赤(へ)の執着」は赤ワインと中国をかけたダブルミーニングを意図していることがわかってきます。しかもそれをやや風刺的なスタイルで描写しています。
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困りました。
当ブログはこう見えて政治、思想、経済、そして日本酒についての話題を慎重に回避しながら書いております。したがいまして、この映画のあらすじをまとめようとすると。。。
ボルドーのワインは■■■■の■■の■■いによりその■■の■■■■■は天文学的なものになったが、これは実は■■■■■の■■■■■■■■による■■■■■であった。■■■■■■■■、■■■■■■■■な■■■■■■■■■■■■を■■■■■が■■■■■■■で■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■だった。
のようになります。
最後までこれで書いたら面白いかなとふと思ったのですが、なにぶん深夜なので面白いように感じるだけでしょう。気を取り直して初級編のワイン豆知識をひとつ。
フランスワインの銘醸地として「ボルドー」と「ブルゴーニュ」の名はご存じの方も多いと思います。これらのワインを(老眼の気になる私のような人間にも)簡単に見分ける方法をご存じでしょうか?
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正解はこのシーンから。ボルドーワインは「いかり肩」のボトル、ブルゴーニュワインは「なで肩」のボトルに入っています。
ボルドーワインは、基本的にブドウの品種を複数ブレンドして造り出されています。タンニンが豊富な品種を主体にしたワインが多く生産されており、熟成することで、タンニンが結合し澱(おり)が発生することがあります。
日本酒では「澱がらみ」が喜ばれることもありますが、ワインでは味わいや舌触りが悪くなるとされるため、ボトルの肩の部分に澱を溜めることで、グラスに入るのを阻止するのです。
これに対しブルゴーニュでは基本的に“単一品種”でワインを醸造します。タンニンの少ない品種が多いのでいかり肩にする必要がありません。
さらに昔、ブルゴーニュにあったワイン貯蔵庫は狭かったため、互い違いでコンパクトにおさめられる「なで肩」の形状になったそうです。
映画には伝説的なボルドーワインである「ペトリュス(PETRUS)」のオーナー、クリスチャン・ムエックス氏が登場します。
ペトリュスと言えば、今年の春に話題になったのが「宇宙熟成ワイン」。
前澤友作氏が現在滞在している国際宇宙ステーション(ISS)で、無重力で14か月熟成された後、オークションにかけられたのです。
平均的な1本750ミリリットルのワインとしては過去最高の100万ドル(約1億900万円)に達すると予想され、世間を驚かせました。
「色や香り、味の構成に著しい違い」があったそうです。
これが本当の。。。
ところで上の段落の文章、厳密にいえば間違いがあるのですが、おわかりでしょうか?
「無重力」とよく言いますが、実際にはISSの高度(地上から約400km)程度では、地球による重力は地上と比べて10%ほどしか小さくなりません。
したがって「無重力」ではないのですが、重力があるのになぜ物が落下しないかというと、「重力と遠心力が釣り合っているから」「ISSが地球に沿ってずっと落ち続けているから」という説明になります。
このページがわかりやすかったのでリンクさせていただきます。
エレベーターで吊りワイヤが切れた時(想像したくありません)や、飛行機の飛ばし方によってもこの状態を作為的につくり出すことができますが、この飛ばし方のことをパラボリックフライトと言います。(JAXAのHPより)
ISSでの無重量状態が植物の成長に与える影響は大きいということは実験で確認されています(植物は重力センサーのようなものを持っている)。
しかし無生物のワインにそれほど大きな影響を与えるというのはいったい何の作用によるものなのでしょうか?
内心では味の変化の原因として「振動」とか「対流」とかの影響が大きく、地球上でも(飛行機の中でも)頑張れば実現できる動作で同じ効果が見込めるのではないかとにらんでいるのですが、それでは夢がないお前には愛情もないと言われそうなので、外では黙っていることにします。
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かわいい子には旅をさせよと申します。
吉川醸造も、ゆくゆくは宇宙に「雨降 匿蔵」を1ダース持って行き、宇宙熟成酒を造ってみたいものです。
GN
パラボリックフライトを利用したMV。撮影中にスタッフが58回も吐いたそうです。
OK Go - Upside Down & Inside Out