タイトル、あの国民的漫画(アニメ)と何か関係があるのでしょうかー。
2月3日は節分。
今年も行事が縮小されたところが多いと思いますが、全国の神社で「節分祭」が執り行われました。
吉川醸造では毎年、大山阿夫利神社、三ノ宮比々多神社、平塚八幡宮の節分祭を「はしご」します。
大山阿夫利神社の祀(まつ)る「大山(おおやま)祇大神(つみのおおかみ)」は別名「酒解神(さけとけのかみ)」といわれる酒造の神ですし、比々多神社のまつる「大酒解神(おおさかとけのかみ)」も同様です。
酒造り自体、もともと先祖の霊魂や八百万(やおよろず)の神々をまつるために造られていたものなので、神社との関わりはとても深いのです。
それぞれ「これは同じ祭なのか?」と思うほど、雰囲気にも内容にも違いがあります。
今年は大山阿夫利神社の節分祭をブログに載せてみます。
いよいよ立春、万物の生命も静かに躍動し始めてきます。この大自然の神の摂理の侭に私たちも過去の罪汚れを祓い清浄無垢の心身を以つて立春への第一歩を大きく清らかにふみだす事ができたらどれだけ幸福であるか、節分祭はかかる大きな期待をかけて古来よりの重要な神事であって、大神の御前においては鬼は外(心身の罪汚れと厄難を祓い去ること)・福は内(家内の幸福と発展を祈り願うこと)真摯な祈りによってその年の輝かしい幸福と発展とを期待する事ができるのであります。(大山阿夫利神社節分祭趣意書より)
大山は「雨降山」と呼ばれたほど雨の多い山ですが、今日はよい天気です。
長い階段を上っていきます。行事司というのは豆を撒く任務を仰せつかった人のことです。ケーブルカー(2016年グッドデザイン賞受賞)に乗ります。終点で降りて、さらに階段をのぼります。天空の社、大山阿夫利神社下社に到着です。ミシュラングリーンガイドで2つ星を取得したほどの絶景ですが、今日は少し霞がかかっています。行事司は衣装をお借りして、客殿から拝殿へと向かいます。
迷惑にならないよう一番後ろへ。神奈川新聞のM記者達と並び、メディアに擬態して写真を撮りました。 天と地の邪気を払う「弓矢鉾」と呼ばれる特殊な神事が行なわれます。
そして「打豆」。神官が撒く金と銀の豆を拾うと福がもたらされるそうです。翌日のM記者の記事です。「かける」と読むのだと初めて知りました。
金銀の豆を4つ拾いました。いいことがありますように。と思ったら帰り際に巫女さんに袋入りの豆をいただけました。
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ところで(今更)、なぜ神事として豆を撒くのでしょうか?
「打豆」が終わった後の清掃も大変なのに。。。
それは「マメ」が「魔滅」に繋がるから。古来より鬼(魔)は邪気や厄の象徴とされ、災害、病、飢饉などは鬼のしわざと考えられてきました。
鬼を追い払う豆は、五穀(米,麦,粟,きび,豆)の中でも穀霊が宿るといわれる「大豆」。
豆を煎る=「魔の目を射る」ことに通じるため、必ず煎った大豆を使います。
「鬼滅の刃」、節分を象徴する「豆」に関係大ありでした。
作中の設定を思いつくまま上げただけでも、
①そもそも鬼滅≒魔滅=まめ。
②主人公竈門炭治郎の妹の名が禰豆子(ねずこ)。鬼に強い。
③鬼は藤の花に弱い(藤の花はマメ科)。
日本の伝承に基づいて精緻に設定されていることが伺えます。
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また「刀」と言えば、大山阿夫利神社は「太刀(たち)」で有名です。
大河ドラマで今話題沸騰の源頼朝は、打倒平家を祈願して大山阿夫利神社を訪れて太刀を納めました。
江戸時代になると行事として庶民にも広まり、多くの参拝者が木太刀を大山阿夫利神社に奉納するようになりました(いわゆる「納太刀(おさめだち)」)。
さらに災難よけとして自分が納めた太刀の代わりに別の太刀を持ち帰り、翌年また大山を詣でるという風習になったといわれ、大山阿夫利神社のあちらこちらで見られます。
六メートル程もある木太刀が地下巡拝路に展示され、迫力満点です。
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吉川醸造では2月中旬に、生酛造り/純米(山田錦)/白麹仕込み/精米歩合90%のお酒(コードネーム「刀 / KATANA」)を発売する。
アルコール度数を19度と高く設定し、力強く重厚な味わいでありながらキレが鋭いことから、水野杜氏が命名した。日本酒では通常使われない「白麹」を用いたことで、味わいに深みとまろやかさが出たという。キレはクエン酸を生成する白麹に由来するのではないかと分析している。
先日神奈川県の百貨店で行われた先行試飲販売会、および都内フレンチレストランで開催された先行唎酒会では、これまでに飲んだことのない深い味わいであると好評を博した。
吉川醸造では、コロナ退散を祈願する「摩滅の刀」となることを期待しているという。
<PR記事ここまで>
コードネームを「刀 / KATANA」と付けるにあたり、代表Gは「刀剣生活 日本刀バイヤーズガイド 刀剣が好きすぎる人のために。刀のある暮らし応援マガジン (発行:ホビージャパン)」という長いタイトルのムック本を買って勉強したそうです。
これぞ付け焼刃ですね。
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その中で、「太刀」と「刀」は似て非なるものであると学んだらしいですよ。
<太刀と刀(打刀)の違い>
・太刀は腰に吊るして持つので、刃が下向きになって鞘に入っている。戦国時代頃まで。
・刀は 帯などに差してすぐに抜くために刃は上になっている。室町時代頃から登場。江戸時代以降一般的な「刀」となる。現代の日本では、単純に「刀」や「日本刀」と言った場合、打刀を指すことが多い。
飾る時も、太刀は刃が下、刀は刃が上が正式であるとされますが、大山阿夫利神社では後者の飾り方(つまり太刀ではなく刀?)が多いようです。
頼朝の時代は「太刀」だったはずですが、納太刀の流行は江戸時代以降ですから、このあたり歴史の綾を感じることができて興味深いです。
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話を鬼滅の刃に戻します。そっちに戻すんかい。
鬼殺隊が持つ「日輪刀」は、鬼を退治するための武器です。
太陽に一番近いために一年中日光が射すという陽光山で採取できる「猩々緋砂鉄しょうじょうひさてつ」と「猩々緋鉱石しょうじょうひこうせき」を原料として打たれる。(「名刀幻想辞典」より引用)
ずっと日光を浴びている特殊な鋼のため、陽光に弱い鬼を倒すことができるのです。
鬼滅の刃は大正時代を舞台と想定しているそうなので、この日輪刀も「太刀」ではなく「刀」のはず。
鬼滅の刃(立志編第6話)より引用。あれ?刃が下を向いている。。。このままでは刀を持ち替えなければならず、鬼の奇襲に備えられません。
放映当時この箇所は、専門家に「誤り」だと指摘されたようです。国民的なコンテンツになるということは、それだけ多くの専門家の目に触れるということにもなりますから、製作側は大変ですね。
最新シーズンでどうなっているか見てみると。。。(遊郭編第4話より引用)
ちゃんと刃が上を向いている!
感服つかまつりました。
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大山阿夫利神社からの帰り道。
伊勢原市の職員の方も参加されていました。
皆様お疲れ様でした。
GN
視点の変化。
Forest Swords - Crow