今回のブログにはちょいちょい、自慢や手前味噌(通称蔵アゲ)が入りそうです。土曜の朝からそんなもの読みたくないという方は、いくつ蔵アゲが入るか数えながら読んではいかがでしょうか。いかがでしょうかと言われても。では、行きます!
吉川醸造のお酒がフェミナリーズ世界ワインコンクールに入賞しました!しかも金賞と銀賞のダブル受賞です。
わぁ、すごいですね!!(直球の蔵アゲ)
…まずは賞についての説明を。単なる転載です。
フェミナリーズ事務局様が別に構わないとおっしゃるので。
「フェミナリーズ世界ワインコンクール」とは
世界中の女性ワイン専門家が選ぶユニークな国際コンクール
ワインの本場フランスでTOP5に入る世界的知名度の高いコンクールです。
日本を始め世界中から毎年約5000アイテムのワインがフランスに集結します。
最大の魅力は、審査員が、世界中の女性ワイン専門家であるということ。
世界中から経験豊かな、女性ソムリエ、女性醸造家、女性ジャーナリスト、女性シェフなど約600名の女性ワイン専門家が集まり、厳正なブラインド・テイスティング審査で評価します。世界中から選ばれた女性ワイン専門家による審査審査員は、世界中から約600人の女性ワイン専門家が、審査会場であるフランス、パリに集まり、世界中から出品された約5000アイテムの「ワイン」「リキュール」を、また2020年から新設された日本酒部門へ出品された「日本酒」の審査を行います。
審査は、外観7項目、香り15項目、味わい17項目、計39項目のポイントをチェックしコメント記載の上、合計点数20点満点で評価されます。審査は非常に厳正です。同席する審査員は異なる「ワイン」「リキュール」「日本酒」を審査するため、審査員間の話合いやコメント交換による調整はなく、他者の影響を受けることはまったくありません。集中してテイスティングを行えるよう、テイスティングは有資格者によって理想的な温度と順番で管理提供されるため、完璧なブラインドで行われる、非常にオーガナイズされた審査システムです。
受賞は大変光栄なことで、蔵一同大喜びしております。
ただ日本酒の賞は国内外にいくつもあります。審査するのが全員女性という癖のあ…特別感のある賞に応募したのは何故でしょうか?
今日は3つだけ理由をお話ししましょう。最初に「3つ」などと数を宣言すると賢そうに聞こえるはずですので、ぜひご活用ください。
理由の1つめ。日本酒に親しみのなかった方にも楽しんでいただけるお酒を造りたいから。
SAKETIMESさんの最新の日本酒消費者動向アンケート結果。
出典:SAKETIMES
回答者の属性比率として男性:女性=66:34程度でした。統計の母集団の若干のバイアス(もともと日本酒に関心がありネットアンケートに抵抗がない)を考慮しても、日本酒を楽しむ女性の率は男性に比してまだまだ低いのではなかろうかという仮説を補強する一つのデータです。
これまであまり日本酒に親しんでこなかった人( つまり私のような下戸)にも受け入れられるお酒を造って、日本酒の世界を広げたいという蔵の思いがあります。多くの女性や外国の方の評価を聞く機会を得られるという動機で、この賞に応募するというのは自然な成り行きでした。
2つめ。吉川醸造のお酒に女性の関わりが増えたから。
当蔵には女性蔵人こそいません。しかし事務・販売や検品、ラベル貼りなどはほぼ女性の手で行っていますし、ラベルのデザインや広報担当、撮影モデルも女性率が高いのです。蔵へのお客様、新酒を試飲してもらった人もなぜか最近女性が多く、フェミナリーズ賞であればこういった女性陣の「感性の総和」がきっと伝わるのではないかと考えたのです。まさにフェミナリーズ・キッカワ。
3つめは、女性の方が男性よりも味覚が優れていると言われているから。
実は純米大吟醸も1点出品したのですが、落選しました。この賞は締切が早く、純米大吟醸部門には昨年搾ったものを出品しました。日本酒の場合、しばらく寝かせることでお酒の円熟味、丸みが出て来るという点で好まれることも多いのですが、純米吟醸のようなフレッシュ感はなかったかもしれません。
落選してむしろ、さすが審査員の皆様は味にうるさい方々のようじゃないかと畏敬の念を覚えたほどです(これは変化球の蔵アゲですがお気づきになりましたか?)。
実際、「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」といった全ての味覚において、女性は男性より鋭いと、科学的に証明されています。女性ホルモンの一種「プロゲステロン」が味覚を鋭くしているという研究発表もされていますし、俗に言う「スーパーテイスター(味蕾を備える舌の茸状乳頭の密度が高く味覚の鋭敏な人)」も女性の方が男性の2~3倍は多いそうです。確か山岡士郎が言っていました。
味覚だけでなく実は視覚にも男女差があるのです。
さてここでおさらいしましょう(なぜか前回ブログ)。人の視細胞には「オプシン」という光の色を捉えるタンパク質が含まれているとお話ししました。もう少し詳しく書くと、これは3種類あって、それぞれ青色オプシン、緑色オプシン、赤色オプシンと呼ばれます。
色の三原色というのをお聞きになったことがないでしょうか。テレビなども小さな3色のツブツブを混ぜて見せることで色々な色を脳が感覚します。
(余談はじめ:これ、考えてみるとちょっと不思議ですよね。なぜ周波数(波長の逆数)の違うもの(色)を混ぜて中間の色に見えるのか。聴覚だとそうはいきません。ピアノでドとミを鳴らしたらレが聴こえるようなものです。気になる理由はまた後日:余談おわり)
ところが、一部の女性は赤色オプシンで2色(赤とオレンジ)をレセプトするということがわかっています。つまり男性は青、緑、赤の3つの色覚を持つのに対し、一部の女性は青、緑、オレンジ、赤の4色の色覚を持つのです。
理由はじゅうぶんに解明されていませんが、「赤ちゃんの肌の色から健康状態を推し量るのに有利だった」からではないかと示唆されています。
(大阪医科大学「女性は男性より色彩感覚が鋭い?」より)
同じ「赤」の物体を見ても、脳の中で感覚している色は私とあなたで確実に違います。その違いを比較することも出来ません。オレンジと赤の色が高分解で見分けられる世界というのがどんなものか、想像するだけで楽しくなります。
私は先日回顧展のあった版画家吉田博の帆船シリーズが大好きなのですが、このとろけるような多色刷りの空や帆をご覧ください。と言っても画面上で見る限り、3原色を混ぜているわけです。
じきにリンク切れするかもしれませんが、「おうちで吉田博展 VR公開」がなかなかよかったのでご覧ください。
展覧会デート(今そんなのあるんでしょうか)で男性が「キミは僕に見えない空を見てるかもしれないんだね」などと語っているところを想像してください。私はめまいがしてきましたのでこの話はここまでとします。
<告知>
本日(4/17)のお昼から、フェミナリーズ賞受賞作「雨降 純米吟醸」を含む雨降シリーズを、オンラインストアなどで販売いたします。少量仕込みで数量が少ないため、お早めにお求めください。自慢の商品です。(時速100マイルの…)
GN
最後の方で空が大変なことに… Colorful な船出。Beirut - The Rip Tide