今期の新酒「菊勇ぜいたくあらごし純米にごり酒」が出来たので新しい杉玉を吊るし、エヌ常務には新しい法被を着てもらい写真を撮りました。
この杉玉(酒林とも言います)は映画の撮影時に使われたものですが、時期がピッタリだったので近藤さんにいただいたのです。
杉玉の意味は日本酒好きの方であればよくご存じのことと思います。酒蔵の軒先に緑色の杉玉が吊られるのが「新酒ができました!」という目印ですね。
毎年新しいものに付け替えます。杉の葉が枯れていくにつれて、杉玉の色は緑から茶色へと変化していきます。その変化は、時間の経過による日本酒の熟成経過と重なり、杉玉が茶色くなるほどお酒も熟成が進んだことを表しています。
去年から吊るしたままの杉玉の色はこんな感じです。
杉玉の発祥は、奈良県桜井市にある日本最古の神社、大神(おおみわ)神社にあると言われています。昔は「良いお酒ができるように」との願いを込められた願掛けの意味があったそうです。
風情ある日本独自の風習、、、と思いきや、とてもよく似たものがオーストリアにもあることをご存じでしょうか。
それがホイリゲの「松玉(束?)」です。
写真はhttps://twitter.com/imogoesterreichより引用させていただきました。
ホイリゲとはオーストリア独自のワイン酒場の事を言います。(Wikipedia)
ホイリゲという言葉はドイツ語の“ホイヤー(今年)”からきており、その年できたワインを指すと同時に、そのワインを飲むことができる酒場のことも指します。ホイリゲは毎年11月11日の聖マルティンの日に解禁され、熟成1年未満の新酒だけを飲むことができます。
ここで松玉は「新酒あります!」の目印として、酒場の門口に吊るされるのです。
意味合いといいルックスといい、「杉玉」と「松玉」はまるで双子のような存在です。日本から遠く離れた、文化も歴史も異なるウィーンで同じような球が同じような時期に軒下にぶら下がっているという「シンクロニシティ」に面白さを感じます。
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この杉玉と松玉、地球とケプラー1649cの関係を思わせます(よね)。
ケプラー宇宙望遠鏡のデータ解析によって近年続々と存在が確認されている「地球に似た惑星(Earth 2.0)」ですが、現時点で最も地球に似ていると言われるのが「ケプラー1649c」です。
https://www.nasa.gov/press-release/earth-size-habitable-zone-planet-found-hidden-in-early-nasa-kepler-data
サイズ(地球の約1.06倍)と推定温度が近い(水が液体のまま存在できる)という点で、生物が存在している可能性があります。
もしかしたら人類と同じような生物が住んでいて、人類と同じように月見酒を酌み交わしているかもしれません。
このケプラー1649c、地球から300光年、つまり約2800兆kmの距離にあるわけですが、桁が大きすぎて想像しづらいですね。
こういう時は換算してみます。
杉玉の直径50cm(0.0005km)、地球の直径12742kmなので、地球が吉川醸造に吊るされた杉玉とすると、ケプラー1649cは蔵から1.1億kmのホイリゲに吊るされた松玉のようなものです。
けっこう遠いですね。
実際には、伊勢原市神戸681からウィーンまでの距離はたったの約9100km。
「次の週末はウィーンに行こう」と思わせます。
ついでに電卓を叩いてみると、地球とケプラー1649cの位置関係は、伊勢原とウィーンの酒蔵にある精米歩合0.0001%の山田錦と雄町の関係くらいです。
何だかよくわかりませんが、かなり軽い口当たりのお酒が出来そうです。
「知らんけど」という言葉が頭に浮かんできたので唐突に終わります。
GN
「地球」ってよくできた言葉ですね。