「ニノさんちょっと書いてみてよ」と代表Gからいつもの「無茶振り」がありましたので今日はわたくしN常務が。
ちなみに「無茶振りしてみよう」は吉川醸造の二大隠れテーマです。もう一つの隠れテーマが「安請け合いしてみよう」です。。。
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最近のブログの流れで行くと、麹造りのあとはいよいよ酒母造りです。
まさに「酒の母」、日本酒造りにおいてとても重要な意味を持っています。
酒母とは何か?ごく簡単に書くと「米を蒸して、麹、水を合わせ酵母を培養させたもの」です。
日本酒の場合、材料の米や水を合わせて置いておくだけではお酒は造れません。酵母が米の糖分(麹菌により糖化されたもの)を食べて、ようやくアルコールを生成してくれるのです。
このブログで以前もありましたように、酵母にはパン酵母やビール酵母など、たくさんの種類があります。
この中で日本酒には主に「清酒酵母」と呼ばれるものが使われます。
さらにその中さまざまな種類の酵母があります。有名なのが新政酒造さんで生まれた「6号酵母」、宮坂醸造さん(「真澄」)で生まれた「7号酵母」などです。
現在では日本醸造協会が「協会酵母」として頒布し、日本中の蔵が使用しています。ご興味のある方は以下をご覧ください。(Wikipedia)(日本醸造協会 きょうかい酵母のサイト)
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吉川醸造では、狙う酒質によって数種類の酵母を使い分けます。
味と香りに違いが出ますが、特に香りへの影響が大きく感じられます。お酒を初めてお飲みいただく方にとっての「手掛かり」(あくまで傾向ではありますが、例えば6号酵母であれば、穏やかな香りでソフトな酒質)になるので、吉川醸造ではラベルに酵母の種類を記載しています。
前置きが長くなりましたが、今月「6号酵母サミット@瀧波」にお招きいただき、代表G、水野杜氏、そしてわたくしN常務の3名で初参加してきましたので記録として書いておきます。
『全国6号酵母サミット』とは…
-現在、最古の市販清酒酵母「6号酵母」は、昭和5年(1930年)に秋田の酒蔵新政酒造、五代目佐藤卯兵衛がもろみに出現せしめた優良酵母で、酒造技師小穴富司雄により発見されました。
全国6号酵母サミットは、6号酵母酒と料理とのペアリングや蔵元との交流などを通して、より多くの方々に6号酵母の存在や日本酒の美味しさに気づき楽しんでいただけることを願い、毎年6月9日に開催しております。
日本古来の伝統を守りながら新たな挑戦をし続けることで、東北から世界へその魅力を繋いでいきます。(Facebookより)-
今をときめくトップランナー酒蔵の皆様(新政酒造、喜久盛酒造、秀鳳酒造場、鈴木酒造店長井蔵、土田酒造、仁井田本家、水戸部酒造、油長酒造【五十音順/敬称略】)に吉川醸造も加えていただいたというまことに栄誉なお誘いです。
吉川醸造では昨年「しぼりたて純米生原酒」で6号酵母を初めて採用しました。権威あるイギリスのIWC(International Wine Challenge)にこれまた初めて応募したところ、びっくりゴールドメダルをいただくことができました(パチパチ)。
水野杜氏曰く「6号酵母は生酒にすると真価を発揮する。フルーティで爽やかでありながら、穏やかかつ繊細な香りを出すイメージの酵母」だそうです。
仕込み水(硬水)や水野杜氏の酒質設計との相性がよかったのかもしれませんが、高評価に気をよくして6号酵母を使ったお酒も増えて、それぞれがファンの方に支持されるようになったのは大変ありがたいことです。
蔵には6号酵母で仕込んで作った酒粕「だけ」欲しいと仰るお客様がいらっしゃるようになりました。全国に6号酵母ファンがいらっしゃることがうかがえますね。
いざ山形へ。
白色で覆われた大地を見るだけで、オーストラリアで修業していたかつてのスノーボーダーとしては血が騒ぎます。
(注:以下たくさん写真を載せましたが、載せないでという方がいらしたら即刻削除しますのでinfo@kikkawa-jozo.comまでご連絡くださいm(__)m)
山形座瀧波に到着。今から350年前に上杉藩の山守を務めた大庄屋の曲がり屋を移築した建物だそうです。(公式サイト)
まずは他の蔵の方々にご挨拶です。
秀鳳酒造場の武田秀和さん。
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始まりました「各蔵による酒蔵紹介」。
各蔵よりプレゼンテーションをします。お客様は畳の上に思い思いの恰好で座ってそれを聞きます。
写真は水戸部酒造の結城純さんと小嶋祐樹さん(立位のお二人)。
ふむふむ。。。他の蔵のプレゼンテーションがとても勉強になります。新生吉川醸造になってから、コロナのせいで他の蔵に伺って勉強する機会はほぼゼロだったなあ。。。
などと物思いにふけっていると、
「ニノさんちょっとプレゼンしてよ。オレがパワポの操作をするからさ」
出ました。恐れていた代表Gの「無茶振り」が。この蔵はどうなっているのでしょうか。
「了解で~す」これが秘儀「安請け合い」です。
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ここからはお酒を飲むことができます。
第一部「マリアージュ 瀧波×6号酵母」。
各蔵の個性あるお酒に瀧波の素晴らしいお料理が合わさってそれはもう見ているだけで涎が。。。
6号酵母発祥!新政酒造の佐藤祐輔さん。
メニューのテーマ「雨水」草木萌動の頃(そうもくめばえいずる)が雨降にぴったりですね。No.6と風の森にはさまれる雨降CLOUD NINE。。。
これまた大変勉強になりました。
第二部「語り合う」
各酒蔵のブースにお客様がいらっしゃって、蔵元や杜氏に話を聞きながら試飲することができます。
楽しい情報交換をさせていただきました。
(左)仁井田本家の仁井田穏彦さん。(中央)土田酒造の星野元希さん。星野杜氏と水野杜氏は旧知の仲で、久しぶりの再会です。
油長酒造の山本長兵衛さん。ここで「あれ?【風の森】は7号では?」と思った方、鋭すぎます。油長酒造さんは自社培養の7号系酵母を使われていることで有名ですが、違った角度から6号酵母を見てみたいという主催のLa Jomon代表熊谷太郎さんの意図なのでしょう。
「タクシードライバー」でおなじみ、喜久盛酒造の藤村卓也さん。お話がめちゃくちゃ面白かったです。
最後に第三部「ともに吞む」。酒蔵の皆さんとお客様がまさに「ともに吞む」空間です。このあたりになると皆に酔いが少しずつ回って来ています。
主催のLa Jomon代表 熊谷太郎さん。
日本酒談議に花が咲きます。
ふと見ると酔った代表Gが佐藤祐輔さんに雨降の瓶を持ってくれと「無茶振り」しています。こんなところで。。。(「美味しかった」そうです(笑))
酒に弱い代表G、どうもフラフラになっていたようで。。。
酔った勢いで?仁井田本家の仁井田真樹さんにWaltz for Debbyをリクエストしたようです。これが最後の「無茶振り」でしょうか。それでも弾いてしまうところが凄いです。
優美なピアノの旋律が流れる天井の高い和の空間。全国から最高の日本酒が揃い、美味しい食事もある。そして日本酒を愛する方々に囲まれながら酒蔵同士で議論を行う、、、というまさに夢のような時間を過ごさせていただきました。
17世紀フランスの文学サロン(注)もかくやと思われるほどですが、さらに上を行くのはお客様も各酒蔵の方々も、そのままいい気持ちで各自の部屋に戻って寝られることです。これ以上の贅沢があるでしょうか。
(注)フランスの文学サロン
17世紀初めのランブイエ侯爵夫人カトリーヌ・ド・ヴィヴォンヌのサロンがはしりといわれる。ローマ駐在の外交官の娘として生まれ、イタリアの洗練された宮廷に親しんだ後、フランスに帰国した夫人にとって、アンリ4世の宮廷は非常に粗野なものと感じられた。そこで自宅に教養ある人々を招き、私的な集まりを開いた。そこでは、文学者が自作を朗読したり、文学論、演劇論が交わされるなどした。(Wikipediaより)
深夜二時を過ぎ、残っている人も少なくなってそろそろお開き、、、と思ったら最後にカラオケを振られました。本日最後の「無茶振り」はこれでした。
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次の日(ちゃんと起きました)。La Jomon様へ。
杉山晋朔先生の著書がずらり。
La Jomon 熊谷太郎さん、どうもありがとうございました!
以下は全て写真家の松田高明氏(「The World of ARAMASA 新政酒造の流儀」など)の撮影された写真です(サイトの機能上圧縮させていただきました)。写真好きの代表Gが質問責めにしていました(「無茶振り」番外編)が、やはりプロは違いますね。カッコイイ!
NS
一番好きなジャズ曲なので出来心だったそうですが、無茶振りは控えめに。
Bill Evans Trio - Waltz for Debby